1952年創業の国内老舗メーカー「アームストロング」から登場しているラバーの多くは同一のラバー名でスポンジに変化をつけたものをシリーズ化する というのが近年の特徴です この「ベクター」も同様で、スポンジ硬度を変えたものが数枚ラインナップされています 珍しい点としてはラージボールで採用されている硬度「25°」という軟らかさのスポンジである、同社独自のスポンジ「PZC-SP」を採用している点ですね 裏ソフト・表ソフト・ラージ用に同一のスポンジを採用する というのは非常に珍しいものとなってます
パッケージはかなり前時代的なデザインです 裏側にはスペック表が書かれています 更に読んでいくと資料としても色々と面白いものとなってますが、現代卓球に適した説明にアップデートされていないです ラバーの判別はシールでスポンジ硬度等が記載されていますのでそれで判断する というのはこのメーカーの特徴です アタックエイト等は種類がかなり多いので、シールがパッケージにかなり貼られているので、注意が必要です ベクターに関しては硬度が「42・45・50」そしてこの「PZC-SP」の四枚がラインナップされています
シートは少ししっとりとしており、粘着(?)の様なものがある質感をしています 実際にはペタペタといったものはないのですが、独特の質感です スポンジはPZC-SPですから、赤い気泡のあるスポンジですね かなり食い込みの良いスポンジです ただ意外な事に強打系の際に潰れ過ぎるという事が少ないですね 詳しくは後述しますが、かなり意外性のある打球感です 軟らかいですが弾き飛ばせる点が面白いですね 球離れは早いタイプではないですが、潰れ過ぎて飛ばすことが難しい という事はこの硬度のスポンジとしては殆どないので、軟らかいスポンジでここまで強打できるのは非常に印象的でしたね
回転性能はシートに摩擦力が皆無となっており、擦ると滑りが強くある印象 回転性能は高いタイプではなく、強打に特化したタイプのラバーですね 食い込ませて回転をかけるタイプのラバーですが、ベースの回転性能が現代卓球+プラスチックボールでは相当に厳しいと言わざるを得ないスペックです 弾道は直線が強く、強い打球時に食い込んだ後、飛んでいくタイプのラバーです 回転性能は厳しいですが、スピード性能は高弾性としてはかなり健闘しており、特徴的な球筋とあって、個性的ではある・・・ というラバーですかね
興味深い点としては裏ソフトながら回転に対してかなり鈍感である事と先に書いた通り、軟らかいスポンジで食い込みの強さがありながら、強打時に潰れ過ぎてしまう という事があまりない点ですね 流石にフルスイングで叩き付けると強く潰れますが、ラージボールでも使用されるようなスポンジを採用しながら強打の打ちやすさはかなり特徴的となっています 早いピッチで強打を打ち込んでいくスタイルに適したラバーであるとは言えます 回転に対する影響がかなり少ないので、レシーブ時に異質ラバーの様に使う事が出来る というのも面白い点ですね PZC-SPの軟らかいスポンジの効果とシートの回転に対する影響の少なさが、アンチラバーの様な独特の特性を出している印象を受けます
流石に現代の最新ラバーと比較すると様々な面で厳しいラバーですが、なかなか特殊なラバーで異質っぽい使い方ができる というのは面白い点ですね かなりシートが回転に対して鈍感である事やPZC-SPが強い打球を受けた際に吸収する事で台上等で飛びすぎるという事がなく、レシーブやブロック時の安定に威力を発揮します また強打がやりやすい というのもこの硬度のラバーとしては珍しいですね ここはかなり特徴があるラバーです 扱いが難しい というよりはラバー自体が特殊過ぎる というタイプですね